ばかくんの映画ブログ

映画好きの美大生が映画ブログを書きます。

小津安二郎『秋刀魚の味』

東京物語に続いて...。

東京物語に続いて有名な作品であり、私が東京物語に続いて2つ目に視聴した小津作品です。こちらの作品はカラーなのですが、色彩よく、最初に映る工場地帯の煙突の銀と赤がとても綺麗です。終始温かみのあるフィルムの色味で、質感で、それだけで秋刀魚の味の雰囲気が頭に焼き付きます。


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冒頭、のシーンの工場
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笠智衆演じる父親が勤務するオフィスから見える工場

オフィスの窓から見える煙突もとても綺麗です。

小津作品に登場する美しすぎる昭和の女性たち

小津作品を見ていて常々思うのが女性がとても綺麗だということ。特にこの映画で娘役を演じる岩下志麻さんには驚きました。

岩下志麻
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密かに想いを寄せる兄の部下と電車を待つ娘役演じる岩下志麻

驚くのが岩下志麻さん、この美しさで男っ気のないクールな女性を演じきったということです。しかし、やはり想いを寄せる人の前では少し女を感じさせるという器用さ。
今思うとこのシーン、非常に切ないシーンです。本当は両思いの二人がお互い想いを伝えないばっかりにすれ違ってしまうのですから。

岸田今日子
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続いて、岸田今日子さん演じるバーのマダム。このかたも本当に色っぽくて綺麗な女性でした。娘が結婚したら一人になる父親が亡くした女房に似ているというんだから、懇ろになってくれたらなんて思いながら見ていました。

まとめ

家族、結婚がテーマにあり、仲の良くない長男夫婦、縁談を進める父の同僚、若い奥さんをもらった父の同僚、自分のせいで娘が結婚できずいる父の学生時代の教師など、父親目線でも母親目線でもこんテーマを考えさせられる要素がたくさんありました。
しかし私が一番この作品で好きなのはブラックジョークが微笑ましい、中年の幼馴染3人で酒を酌み交わすシーンです。女房同士の亭主に対するブラックジョークのお茶漬けの味といい、小津監督はブラックジョークが本当に面白い。おっさんのおっさんに対するジョーク、ぜひ注目して見ていただきたいです。